外国人を日本に呼び寄せるための手続き、在留資格認定証明書交付申請について説明します。
在留資格認定証明書とは日本に上陸しようとする外国人について、その上陸目的が入管法の定める在留資格のいずれかに該当していることをあらかじめ法務大臣が認定したことを証明する文書であり、これを提出すれば速やかに査証、上陸許可が得られるというものです。
査証(VISA)とは日本大使館、領事館の査証官が旅券(パスポート)に印を押す形でなされる文書であり、旅券が有効、真正であることを証明し、日本への入国が問題ないと入国管理官に対し推薦するものです。よって、有効な査証があるからといって、必ず上陸許可されるとは限りません。「在留資格はしばしばビザと呼ばれますが(たとえば就労が許される在留資格を「就労ビザ」。日本人の配偶者等を結婚ビザと呼ぶ)、在留資格は上陸許可または在留許可に際し決定されるもので査証とは全く異なります。
外国人が日本に上陸するためには査証が必要です。
ところが、 外国人が在外公館(大使館・領事館)に直接査証申請し、査証が発給されるのには大変な時間がかかります。
まず、当人が本国において、日本大使館または領事館に査証を申請し、それが日本の外務省に伝えられ、外務省が法務省へ協議し、法務省から地方入国管理局へ、入管が在日関係者に事情聴取、場合によっては関係省庁と協議‥‥、
そして、入管→法務省→外務省→大使館と回答が逆のルートで伝わり、やっと査証がもらえ、来日できるということになります。
しかし、在留資格認定証明書交付申請から始める手続なら大幅に時間を短縮できます。
代理人(在日関係者)が入国管理局へ在留資格認定証明書交付を申請し、交付された証明書を来日を希望する外国人へ送付します。証明書を提示して査証申請すれば、大使館のみの判断で査証を発行できます。
さらに上陸時に証明書を提示すれば、容易に上陸が許可されます。
ただし、在留資格が短期滞在の場合、在留資格認定証明書交付申請はできません(入管法第7条の2第1項)。 「短期滞在」(観光・見学・会議・親族訪問等)が目的の査証は簡易に取得できるので、在留資格認定証明書を取得する実益がないからです。
永住者についても在留資格認定証明書の交付申請はできません。日本は移民を認めていないからです。一定期間の日本での在留を条件として、資格変更の手続きによることとなります
在留資格認定証明書交付申請に必要な書式・書類について説明します。
必要な書類は次の三つです。
例として「日本人の配偶者等」(いわゆる結婚ビザ・配偶者ビザ)の必要書類について説明します。
法務省サイトの該当ページに詳しい説明がありますが、当職の経験から補足を加えたものを記載します。(注)とあるのが、当職が補足した部分です。
申請人とは日本への入国を希望している外国人のことです(まちがえやすいポイントですが、呼び寄せる日本人や日本の会社が申請人ではありません)。
A4用紙に実際のサイズで印刷します。
片面一枚ずつ印刷してください(両面印刷はしないでください。)。
記載欄はすべて記入し、空欄は作らないでください。ない場合は「なし」わからない場合は「不明」「未定」と記入してください。旅券を申請中であれば、旅券番号の欄は空欄にせず、「申請中」と記載します。「予定」とされている部分は現時点で予定を書けば十分であり、将来変更の可能性があっても問題ありません。
申請人用の署名欄には、申請人本人が署名可能なら申請人がサインしますが、通常不可能ですので呼び寄せる人間(勤務先代表者等)が署名します。所属機関用の記名押印欄には会社名のゴム印を押し、代表印を押印します。法人化していない場合は屋号と代表者名を記入し、事業用印鑑を押印します。
写真は申請前三ヶ月前以内に撮影され、上半身の無帽・無背景のものが1枚必要です。
(3) 立証資料とは申請人の資格・能力および国内の受入機関との関係を証明するものです。 次の要件があります。
上記資料以外にも「その他参考となるべき資料」の提出を求められる場合もありますし、申請時、提出不可能な資料については、その旨を説明し 、入管当局が相当と判断した場合は提出が免除、あるいは代替資料の提出で許される場合もあります。
提出した資料は原則として返してもらえません。再取得不可能な資料については申請時に申し出れば、原本を提示し、コピーを提出する形にしてもらえます。
在留資格認定証明書交付申請の具体的な方法について
在留資格認定証明書交付申請には印紙代は必要ありません。ただし、証明書が簡易書留で送られてくるので、392円分の切手を貼った封筒を提出する必要があります。
在留資格認定証明書交付申請は申請人の予定居住地または招へい機関等の所在地を管轄する地方入国管理局、同支局・出張所(在留資格審査関係事務を取り扱う出張所に限る)に申請します。
短期滞在の資格で入国した申請人本人(申請人とは入国する外国人当人のことです)か、入管法別表第一の在留資格(「技術・人文知識・国際業務」など活動内容に着目した資格)に該当する場合は招へい機関等の職員(会社社長や人事部長など)が、別表第二の在留資格(「日本人の配偶者等」など日本人との関係に着目した資格)に該当する場合は親族が代理人として申請できます(出入国管理及び難民認定法施行規則別表第四(第六条の二関係))。
本人または前記代理人に代わり書類提出(申請取次)申請取次ができるのは以下のものだけです。
当センター代表行政書士は上記②の資格を得ております。
取得した「在留資格認定証明書」を国際スピード郵便(EMS)等で現地まで郵送します。前述のとおり、この「在留資格認定証明書」を日本領事館に旅券とともに提出すれば短期間(約一週間)で査証がなされます。その後、旅券とともに、「在留資格認定証明書」を提出すれば旅券に上陸許可証印がなされます。
入国管理局が申請人の日本への入国を不適当と判断した場合は次の在留資格認定証明書不交付通知書が送付されてきます。
ごらんのとおり、不交付通知書にはきわめて形式的な理由しか書いてありません。そこで、入国管理局へ行き、行政相談を受けて、不交付の具体的な理由を明らかにする必要があります。そして、前回の不備を補正した上で再申請するのです。不交付の理由がわからないまま、やみくもに再申請を繰り返しても再び不交付となるだけです。
在留資格認定証明書不交付も行政処分ですが、不服申し立てはできません(行政不服審査法第7条第10項)。
行政事件訴訟法に基づく取消訴訟も可能ですが、費用や時間もかかり、勝訴の可能性けっして高くないことから最後の手段と考えるべきです。
したがって、前回の不備を補正した上での再申請を行うことが現実的であるといえます。ただし、再申請がむずかしいことも確かです。前回の申請と矛盾点があればそれだけで不交付となってしまうのです。
再申請が何回でも可能なことから、「ためしに自分でやってみよう」と軽い気持ちで申請される方もいらっしゃいますが、きわめて危険な考え方だと思います。一回でも不交付処分がなされたということそのものがマイナスの要因となるおそれがあるからです。第一回目の申請の段階で専門家に依頼することを強くお勧めします。